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帰宅してみたら、佛教大学国文学会誌の「京都語文」16号が届いていた。
毎回、美麗な表紙で日本の大学単独の国文学会の機関誌としては、最も贅沢な装幀であると思う。
印刷は、身に覚えがある図書印刷同朋舎。
残念ながら学会はお休みしてしまったが、今回は、中世特集ということで、このブログにも紹介した兵藤先生や黒田彰先生の講演記録や論文が多数掲載されている。
私が今回、最も興味を持ったのは、「腐敗する死体」という論文で、田中貴子さんが書かれたもの。
「日本往生極楽記」等の往生伝が多数伝えられているが、この論文では、「おくりびと」をまず例にあげて、「九相図」、「腐らない死体」としては、「往生要集」、「拾遺往生伝」、「後拾遺往生伝」等の数々の「往生」と「死体」の関係を紐解いていく。この他、「源氏物語」、「今昔物語集」等も引用されている。
黒田先生の「武氏祠画象石の基礎的研究三」はこれだけで、単行本の分量がある。なんと合計112頁が図像を含めて占領されている。
私もこの京都語文に論文を掲載して欲しくて、何度か応募したが、総てボツ、審査の黒田先生が「君、この論文の頁数、滅茶苦茶だよ。」とボツの理由を述べられたが、やはり業績がある人は、これだけの論文を発表することが出来るのだと思った。
内容的には、ニラン論文による武氏祠画像石擬刻説への反論である。但し、私は、いきなり、ニラン女史への憤りを文章に書くよりも、淡々と事例を挙げて、総ての画像がこの遺跡に存在する必然性を証明しておいてから、補註、あるは、結語で、ニラン論文についての先生の見解を述べた方が、論文の品格が更に上がる思う。
この他、上野先生の源氏物語の論文等、面白い読み物が満載である。
国文学会は、会員数が不足して困っているので、佛教大学国文学会の会員になって欲しいものである。
申込み先
〒603-8301
京都市北区紫野北花ノ坊町96
佛教大学 三谷 憲正研究室内
電話:075-491-2141(代表)