たまご醤油が美味しい訳
2010-10-17


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15日のたまご研究会の発表で最も面白かったのが、京都女子大学の八田一先生による脱脂鶏卵醤油の発表である。

 脱脂卵黄醤油、これは、一般には、「たまご醤油」と呼ばれることになるだろう。

 大豆も卵黄も蛋白質原料なので、十分に脱脂を行えば、発酵させると醤油が出来るのは当然であるが、今まで、なかなか実際にやってみる人がなかった。

 八田先生は、既に鶏卵醤油を商品化の段階に入っている。問題は、鶏卵から乳児用の人工乳を生産する為に、卵黄脂質が取り出されているが、その残渣大量に残る為に、その活用法として、脱脂卵黄醤油の実用化を考えついたという。

 その醸成の過程では、プロテアーゼ含量が高い為に良質の発酵処理が可能になるという。

 脱脂卵黄醤油の色は、薄い黄色で、ベトナム等で生産されているニョクマム等に似ている。味の方は、魚醤と大豆醤油の中間的な、芳醇で多彩な味がするという。今回、発表された脱脂卵黄醤油のアミノ酸組成のデータと脱脂大豆醤油のそれを比較してみると、脱脂卵黄醤油のアミノ酸は、グルタミン酸等は、少し、大豆に比べて少ないが、他の成分は満遍なく潤沢に含まれており、多彩な味がするというのも頷けるところ。

 元々鶏卵に含まれていたアミノ酸が凝縮されているのだが当然である。養鶏用の飼料も最近は、配合飼料が中心に使用されているが、その蛋白源としては、とうもろこしグルテン、大豆粕、菜種粕、魚粉等がある。最近では、動物性蛋白が敬遠される為に植物蛋白である大豆粕等が中心に使用されているが、衆知の通り、大豆粕には、必須アミノ酸であるリジン、メチオニンが不足している為にこれらは、飼料添加物として、補われている。

 配合飼料の中でも採卵養鶏用配合飼料は、特に、アミノ酸バランスを考慮されて設計されているので、その成分値が鶏卵に転嫁、更に凝縮加工した場合には、「アミノ酸の坩堝」的な状態になり、究極の調味料が出来上がる訳。

 次のたまご研究会には、製品化されたたまご醤油が配布されるという、是非、参加したいと思った。
[批評(製品食べ物その他)]

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