佛大ワールド(佛大通信8月号)が公開された。
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いろいろと読んでみたけれども、やはり、安藤先生が玉虫厨子の捨身飢虎図について述べられているのが気になった。
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ジャータカといってお釈迦様の前世の出来事(功徳)について描かれた一場面で、飢えた虎に身を捧げるという部分。(まるで、今日の臓器移植のドナーさんみたい。1人の命が多くの命の蘇りに役に立っているので、尊いと思う。)
その実に美しく気高い行為が、異時同図法で描かれている。
この点については、安藤先生は、古代の絵画表現の1つとされている。これも妥当な見解だが、私には、アニメのコマの様なもので、描き手は、1コマ、1コマの瞬間が描きたかったのだと思える。
つまり、お釈迦様が崖から落下していくコマ送りの画面の瞬間に描かれている周囲の風景に何らかの意図が潜んでいる様な気がする。
不思議な複雑な構造を持っている崖の岩、あるいは、安藤先生が中国古代文化(気)の影響とされる雲等がある。
更に、飢えた虎の親子にお釈迦様が食べられる風景の周囲にもなにやら描かれている。
これらの不思議な描画・造形に隠れている「見えざるもの」が何であるかを考えてみることが大切だと先生は、この文章で書かれている。
個人的な見解としては、これらの不思議な造形には、意匠的な要素もあるが、やはり、意匠の元になった思想等がイコノグラフィアとして現れている様な気がする。
他の同じテーマを扱った作品と比較してみると、新しい発見があるかもしれない。
そうゆう風に考えてみると、仏教絵画の研究というのは、凄く楽しく、面白いことだと思った。