アーガマと山伏さん達
2010-02-16


先週、「阿含の星祭り」のTV生中継をみた。

 事前に朝日新聞に全面広告が掲載され、話題を呼んだ。

 「特定の宗教法人に対する一般報道の姿勢」が問われたのである。

 朝日新聞に掲載されたのだから、サンテレビで放送されても当然だし、マラソンの有森さんとかタレントのUさんとかそんな人が出演しても問題はないのだろう。

 NHKで放送されたら大騒ぎになるだろうか。

 「阿含の星祭り」は、火祭りであり、たしかにこれだけの規模で、火を炊くお祭りは、春を呼ぶような感じとかあるし、きっと若草山の山焼きよりも迫力があるかもしれない。

 そういった興味でこの番組をみた。

 なにやら山伏の様な装束の信者さん達がゴマを炊いたり、色々やっている。桐山靖雄氏の写真等も映された山伏の格好をしているし、実際、私は、佛大で学ぶ前までは、密教系の新興宗教で、山伏の集まりみたいな教団だと考えていた。

 ところが、仏教史を学習する段階で、阿含経典について知った。アーガマである。

 アーガマは、次のアビダルマにつながる経典で、上座部仏教の中心経典でもあり、重要である。でも、山伏さん達とは、どんな関係があるのか、余計に判らなくなった。

 お釈迦さまの本当の教えがアーガマには書かれているのである。

 「日本にアーガマ」を中心経典に据える仏教教団が存在することが、東南アジアの仏教徒達にも知られる様になり、信望を受けて交流や経済支援等も行われており、アジアグローバルな教団としての位置づけに成功した。
 
 日本人にとっては、山伏が修行しているのは、当然だという文化的な伝統があり、火祭りをみてもなんら問題なく受け入れており、実際に、こんな風に35年もかかったと言ってもTV放送される様にまでなっている。

 日本国内では、伝統的な密教、山伏スタイルで、日本文化に溶け込み、アジア社会では、上座部系教団として、信望を受ける。

 この様に内外での融和に成功し、他の新興宗教教団と同様に安定的な地位を固めつつあるようだ。

  それにしても、新興宗教のパワー、大衆性には、関心させられる。

 そこには、伝統的な仏教教団が失ってしまった在家修行の場、自己鍛錬の場を提供してくれるという大きな魅力がある。

 浄土宗の改革について若手の人達を中心に始まっている。安達先生によれば、特に出家しなくても浄土宗の修行体験や知識が学べる場所を提供することが大切であるとされている。

 佛大の別科で学ぶには、師僧の紹介とか僧籍とか必要で、多く世襲である。強い意思を持ち、財力がある人で、僧侶の家計でない人が出家する場合もあるが、これは、いわば、VIP待遇であろう。

 庶民の子弟が、既存仏教を「真面目」に修行しようとすれば、出家しか方法がないという状況が、現代の若年層に受け入れられないのが、「葬式仏教」と化している原因の1側面なのである。
[佛教大学]
[雑記]

コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット