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以前、「浦島太郎が何故、平家物語に登場するのか」の問題について、このブログで取りあげた。
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「延暦寺末寺白山三社八院の宗徒二千余人が白山中宮神輿を比叡山東坂本の「客人の宮」へ入れ奉った折の有様について」について、浦島伝説との関連について注目し、『浦島未来記』における予言的性格が歴史書としての源平盛衰記に反映されていることを述べた。
この後、展開する源平争乱の激動の時代の予言という見方では、面白いというが、同時に大学院の試験レポートに書いた浦島説話と白山信仰については、どの様に説明するのかと問題がある。
白山妙利権現と浦島伝説の間には、白山と泰澄大師のつながりが、海洋説話への連繋をみせていることは、私は、既に論証している。源平盛衰記が縦の説話の連繋であると考えれば、この様な海洋説話、白山信仰・説話との横の連繋が併存しているのが、中世軍記・説話文学の大きな特色である。
文芸評論では、以前から中世文学の特色としては、様々な年代の文学の重層性を指摘される先生方は多いが、横の連繋の性格については、指摘されている研究例は少ない。
先日、私は比叡山を旅行した。そこから、FZ18の超望遠で北東側を撮影した時の水平線の近くボヤッと写っている物体がある。
例によって画像処理を行ってみたが、判然としない。
そこで、GoogleEarthで同じ位置を俯瞰してみたのが、図である。
なんと比叡山東塔からは、白山を遙かに臨むことが出来る。それは、須弥山をイメージさせる聖なる存在である。
他にも、ここからは、御嶽山を望むことが出来る。面白いのは、白山、御嶽山を辿っていくと、日本の山岳伝説・説話の故郷である富士山に眺望がたどり着くのである。
つまり、説話の連繋が俯瞰を中心とした山岳信仰のネットワークとリンクしていることが指摘できる訳である。
比叡山→白山→泰澄大師→浦島太郎→未来記のリンクを解き明かすことで、平家物語鵜川合戦の「浦島が子の七世の孫にあへりしにも過ぎ、胎内の者の霊山の父を見しにも越えたり」の謎が解けた訳である。